特別研究・聞き書き調査報告書

特別研究・聞き書き調査報告書は、一般社団法人日本調理科学会の特別研究 平成24~25年度に47都道府県で聞き書き調査したものを平成26年6月に平成26年6月に『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』として聞き書き調査報告書としてまとめました。また、平成24年~25年の調査報告書を補うものとして平成26年度『「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」聞き書き調査報告書』として平成27年7月にまとめました。

聞き書き調査の研究目的、調査概要などは以下の通りです。

研究背景

日本調理科学会では、平成21年・22年度の特別研究として「行事食」についての調査研究を行いました。「行事食」についての特別研究を実施した背景には、農業人口の減少、輸入食品の増加、食の外部化、核家族化、飽食の時代となった現代、先人の知恵が凝集した食べ物、すなわち郷土の料理を家庭で作る機会が減り、伝統的な地域の料理が親から子へ伝承されない傾向にあることがあげられます。また、これらの伝統的な郷土料理は、風土に根差しているばかりでなく、生活に喜びを与え、家族や地域社会の絆を深めるとも考えられ、後世に残していく一助となればとの願いから特別研究を実施してきました。

研究目的

今回の特別研究は、伝統的な地域の料理が親から子へ伝承されにくい傾向にある現代に鑑み、聞き書き調査を通して、次世代に伝え継ぐ家庭料理を、その暮らしの背景とともに記録することにより、各地域の家庭料理の研究を深める基礎研究とするだけでなく、家庭、教育現場でも利用され、次世代へ伝え継ぐ資料ともなり得る意義ある研究とすることを目的としました。また、次の段階で本として出版できるような資料を得ることを目標にしました。

各地域の家庭料理については、すでに数多くの書物が刊行されています。しかし、それぞれの料理に関わる暮らしの背景を加えた全国的な調査は、『日本の食生活全集』などにみられるものの、現代についての調査はほとんどみられません。全国各地域に残されている特徴ある料理について、聞き書き調査を通して地域の暮らしの背景とともに記録すること、また、その中から次世代に伝えるべき家庭料理を選択し、広く社会に公開することは、本学会にふさわしい特徴ある研究と考えられます。

調査の概要および調査ガイドライン

地域に残されている特徴ある家庭料理を、聞き書き調査により地域の暮らしの背景とともに記録し、『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 調査報告書』としてまとめ、各地域の家庭料理研究の基礎資料、家庭、教育現場での資料、次世代へ伝え継ぐ資料などとして活用するために下記の調査を行いました。また、調査報告の内容を検討し、後世に残すために出版することを目標としました。

1)日本の家庭料理の定義

各地域の自然環境の中から育まれた食材を中心とした日常食または行事食などで、1960~1970(昭和35~45)年頃までに定着してきた地域の郷土料理としました。

2)聞き書き調査

各地域で育んできた料理とその背景を知るために実施し、その結果から、次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理を選択しました。

3)書誌情報の収集

各地域の食事、料理に関する先行研究・資料などについての書誌情報を収集し、都道府県ごとにリストを作成する。先行研究・資料により、聞き書き調査地域の選定、対象者への協力依頼および協力同意書、調査様式1・2、調査資料リスト等聞き書き調査の準備を行いました。

4)聞き書き調査の対象者

原則として、その地域に生まれ育ち、その地で30年以上居住した60代(できれば70歳以上)の方で、家庭の食事つくりに携わってきた人としました。

5)研究組織

日本調理科学会員に参加を呼びかけ、全国の約360名が調査に関わりました。

報告書の作成と配布

全47都道府県が参加し、全国津々浦々318カ所において聞き書き調査を行い、特別研究 平成24~25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」調査報告書(全507頁)と平成26年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」聞き書き調査報告書(全267頁)にまとめました。

報告書2冊は、2014年6月と2015年7月に発行し、調査を行った参加者全員に配布しました。

報告書の販売

残部は少数ですが、平成24~25年度報告書は1冊3,000円(送料・税込)、平成26年度報告書は1冊2,200円(送料・税込)で販売しています。
お問い合わせは日本調理科学会事務局(aek00417@nifty.com)までお願いします。

「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」聞き書き調査報告書